今回はお葬式を行う目的・意義に関する3回目となります。
お葬式を行う目的・意義とは?①はこちらから
お葬式を行う目的・意義とは?②はこちらから
4、悲嘆の処理
人の死は周囲の人に衝撃、悲しみ、心の痛みをもたらします。死の事実を受け入れられないこともしばしばです。したがって周囲の人がその死を受け入れるには、しばしば長い時間を要し、葛藤が伴います。
臨終行儀(臨終の際の作法)から通夜、葬儀式を経てその後の喪に至るまで、長い時間をかけて行われる葬儀のさまざまなステージ(段階、場面)は、この心のプロセスに沿うものでもあるのです。特に死者と精神的な関係が密であった配偶者や家族には、身を切り裂くような深刻な心の痛みを生じさせます。これは病気ではなく、人間として自然なことです。この死別の悲しみ、痛み(英語ではグリーフ)は容易には解決せず、その癒しにはしばしば長い時間が必要です。
また、死別の悲嘆は抑制したり、逃げ去ることではなく、表出することによって癒されていきます。悲嘆の表出を避けたり、あるいは妨げたりしてうまく表出できなかったりすると、体調を崩したり、精神的な疾患を引き起こすこともあります。この悲しみにある人々に対しては、心に寄り添うことが必要になります。
(碑文谷創著 表現文化社『葬儀概論』より原文のまま転載)
臨終行儀(臨終の際の作法)から通夜、葬儀式を経てその後の喪に至るまで、長い時間をかけて行われる葬儀のさまざまなステージ(段階、場面)は、この心のプロセスに沿うものでもあるのです。特に死者と精神的な関係が密であった配偶者や家族には、身を切り裂くような深刻な心の痛みを生じさせます。これは病気ではなく、人間として自然なことです。この死別の悲しみ、痛み(英語ではグリーフ)は容易には解決せず、その癒しにはしばしば長い時間が必要です。
また、死別の悲嘆は抑制したり、逃げ去ることではなく、表出することによって癒されていきます。悲嘆の表出を避けたり、あるいは妨げたりしてうまく表出できなかったりすると、体調を崩したり、精神的な疾患を引き起こすこともあります。この悲しみにある人々に対しては、心に寄り添うことが必要になります。
(碑文谷創著 表現文化社『葬儀概論』より原文のまま転載)
■お葬式の最も重要な目的・意義
お葬式の持つ、最も重要な意義として、『悲嘆の処理』があります。碑文谷先生も、心なしかこの項目に一番力を入れて書かれているように感じます。
亡くなった人との関係性が特に深いご家族の悲嘆の悲しみは、まさに身を切り裂くような深刻な心の痛みを伴います。特に長年連れ添った配偶者にとっては、「身体の半分をもぎ取られた」ように感じる方もいます。
人生最大の悲しみに遭遇したご家族の気持ちは、他の誰にも分かりません。感情は各自それぞれだからです。
■葬儀社の役割
葬儀スタッフは、感情を理解することが難しいからといって、目を反らすのではなく、ご家族の横にそっと寄り添い、悲しみ以外の感情、不安や心配ごとを取り除いてあげるお手伝いが求められます。
また、感情をなるべく自然に吐き出して頂けるような環境作りが重要です。はるかが式場もスタッフも、機械的ではなく、温かい雰囲気になるよう心がけているのは、ご家族がリラックスして笑いたい時に笑い、泣きたい時に泣いて頂きたいと思っているからです。
■一担当制にしている理由
弊社がご葬儀において、専属の担当を一人決めてお手伝いをさせて頂いているのは、悲しみの中にあるご家族に寄り添うためには、この方法が一番だと考えてです。
システマチックに流れ、滞りなく葬儀を終えることを目的とした会社は大変多く存在します。正直、大手であればあるほど、ご家族に寄り添うのが難しいです。
規模の大きい会社では、打ち合わせ担当・式典担当・火葬場担当・集金担当と、ご家族が接する担当者が次々に変わっていきます。
規模の大きい会社では、打ち合わせ担当・式典担当・火葬場担当・集金担当と、ご家族が接する担当者が次々に変わっていきます。
その場合、どうしても、ご家族の必要最低限の引継ぎ程度になり、想いの部分の共有はなされません。
もちろん一担当制というのは、担当者への負担も大きいので、はるかでは担当者一人に任せっぱなしにするのではなく、スタッフ全員が協力し、会社全体としてご家族のサポートができるよう心掛けております。
■家族の苦しい胸の内は誰に話せば良いのでしょうか?
葬儀社にそんな深い話しまでする人はいるの?
と疑問を持たれる方もいらっしゃると思いますが、第三者として、そして葬儀のプロとして寄り添う担当者にだから話しやすいこともあります。
もちろん最初からそのような関係を築けるのではなく、極力ご家族の不安や心配を取り除いてさしあげ、担当者との信頼関係が築かれると、ご家族の沢山の想いが溢れてきます。
もちろん最初からそのような関係を築けるのではなく、極力ご家族の不安や心配を取り除いてさしあげ、担当者との信頼関係が築かれると、ご家族の沢山の想いが溢れてきます。
今まで私も、随分込み入った話や、悲しみがいつまでも癒えない胸の内などを聞かせて頂きました。
お葬式の間…特に肉体との最後のお別れである火葬までの間に、感情を十分に吐き出せるかどうかは、その後、ご家族が悲しみから立ち直るためにも大きな意味があります。
その感情を引き出すのも葬儀社の役割です。
その感情を引き出すのも葬儀社の役割です。
■つどい場や供養祭の意義
もちろんどれだけ誠心誠意お手伝いしたとしても、葬儀の瞬間だけでは悲しみは癒えません。悲しみが深ければ深いほど時間が必要です。
そこで、はるかではご葬儀を終えた後には『つどい場』や『供養祭』などで、悲しみの共有の場所も用意しています。
ご葬儀から2年・3年と、なかなか外に足が向かなかった方が、勇気を出して『つどい場』に参加し、同じような経験をされた方と話すことで、「こういう気持ちは自分だけではないんだ。」と気づき、それ以降『つどい場』に足繁く参加されるようになった方もいらっしゃいます。
■葬儀社を選ぶ新たな基準
しかしながら、お葬式の目的として、最も大切な『悲嘆の処理』に関して、ほとんどの葬儀社が目を向けていないのが残念でなりません。
なぜなら、葬儀社を選ぶ基準として、ご家族に親身に寄り添う会社なのか否かを、多くのお客様は気にされないからです。
価格だけでは計れない部分で、お客様が葬儀社を選ぶようになると、葬儀業界のサービスの質は上がっていくと思います。
もちろん、現時点での弊社が、ご家族の気持ちに100%寄り添えているとは考えているわけではありません。しかしながら、今後も少しでもご家族の癒しに繋がるような努力を、スタッフ一同続けて参りたいと思います。