終活カウンセラーの古屋 尚美がお話を伺いました。
「はるかメンバーズ」
森井様
朝起きたら「お父さん、おはよう」、出かける時は「お父さん、行って来ます」、家に帰ったら、「お父さん、ただいま」、と言ってチンとリンを鳴らし、お父さんの写真に挨拶するのが、森井さんの日課。「お父さん」とは、今年2月にご逝去されたご主人のことです。
はるかメンバーズきってのおしどり夫婦
森井さんご夫妻には、情報誌 はるか『読者の広場』の記念すべき第一回目に、ご登場いただきました。当時、全くの麻雀初心者だったお二人ですが、「ボケ防止に最高だ!」と、仲良く麻雀教室に通っていることや、秋の一泊旅行を今から楽しみにしているというお話を掲載しました。
闘病中のなか、はるかの一泊旅行へ
ご主人の肺がんが見つかったのは、市の健康診断。森井さんが、私に話してくださったのは、秋の一泊旅行、秩父に向かう車中でした。あまりにも突然の報告に驚きと悲しみが襲ってきましたが、“今回の旅行を皆で楽しもう!”と気持ちを切り替え、本当に思い出に残るかけがえのない時間となりました。
森井さんご夫妻のとびきりの笑顔を写した写真は、ご葬儀の時、メモリアルコーナーに飾り、ご家族や親戚の皆さんにも見ていただきました。
ご主人の遺志が綴られたエンディングノート
ご主人は、娘さんのススメでエンディングノートを書いていました。と言っても、書くのが面倒だと先延ばしにするご主人に代わり、「お父さん、私のために教えて」と、娘さんがノートに聞き書きしたのだそうです。そこには、「延命治療はしない」「入院はしない」「葬儀に来て欲しい人」など、ご主人の遺志がありました。
葬儀は身内だけでというのがご主人の希望でしたが、葬儀には、送る人と送られる人、各々の思いがあります。森井さんに「はるかメンバーズの皆さんには知らせませんか?」とお尋ねすると、迷いながらも「やっぱり、お父さんに会ってお別れして欲しい」ということで、メンバーズの皆さんには告別式にご参列いただきました。
ガンが分かってから、自由にやりたいように過ごした
抗がん剤は断り、緩和ケアだけを行うことを決め、定期的にクリニックに通っていたご主人。体力的な限界を迎え、訪問診療に移りましたが、寝込んだのは一週間。ガンが分かってから1年8ケ月、好きなお酒を制限することもなく、本当に自由にやりたいように過ごしたそうです。介護ベッドも準備したけど、「寂しい」と言いながら、森井さんと娘さんの布団に潜り込み、親子3人川の字で寝たという、微笑ましいお話も伺いました。
「いつもお父さんが側にいる気がするから寂しくない」
亡くなる2日前、「ウイスキーが飲みたい」と言うご主人。ウイスキーが無かったので、いつもの焼酎を吸い飲みに入れて持っていくと「グラスで」と言われ、グラスに入れ代え手渡すと、何とも美味しそうにクイッと飲み干したのだそうです。全て「在宅」ならではですね。「家で看とれたことは本当に良かった」「お父さんは好きなように生き切ったと思うから、私、何の後悔もないの」と話す森井さんは、とても晴れやかでした。「姿は見えないけど、いつもお父さんが側にいる気がするから寂しくない」、おしどり夫婦は健在のようです。
森井さん、これからも、はるかの皆と「今」を楽しみましょうね。
この記事は、はるかメンバーズにお届けしている『情報誌 はるか 平成30年 深秋号』の内容を再編集して掲載しています。つどい場はるかには、大切な人との死別を経験した沢山のメンバーズさんが集まります。誰かと話がしたいなと思ったら、お気軽に遊びに来て下さいね。つどい場はるかについてはこちらのページをご覧ください。